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就活・転職者はもう、AIに聞いて会社を選んでいる「AI対策」をしない企業が、求人で選ばれなくなる理由

これからの採用は「AIにどう紹介されるか」で決まります

採用の成否は、求職者と会う前の段階で動き始めています。鍵を握るのは、いわゆる「AI対策」です。

ここでいうAI対策とは、専門的には「LLMO(エルエルエムオー)」と呼ばれます。LLMOとはChatGPTやGeminiといったAIが企業を紹介するときに、自社の情報を正しく・魅力的に取り上げてもらうための取り組みを指します。かつて検索エンジン対策を「SEO」と呼んだのと同じように、これからはAIに向けた対策が必要になる、という考え方です。

なぜこれが重要なのか。求職者の情報収集が「検索」から「AIへの相談」へと移ったからです。求職者のAI利用を調べたある調査では、転職活動でAIで企業情報を調べた求職者のうち94.6%が「知らなかった企業」をAIに提案され、87.4%がAIの情報をきっかけに応募や選考を辞退していたとされています(参考データ参照)。担当者へ連絡すらないまま候補から外れるこの「サイレント辞退」が、すでに起き始めています。

中小企業や自治体の採用支援に携わる私たちニューズコムは、この変化を「広島の企業にこそ無視できないリスク」と捉えています。知名度で大手に劣る地方企業ほど、AIの一言で候補から消える打撃が大きいからです。

AIが「事実と違う自社」を語ってしまう

サイレント辞退の正体は、AIによる「情報の取り違え」です。

求職者がAIに企業を尋ねると、AIは公式サイトだけでなく、口コミサイトや古い求人票など、企業が直接コントロールできない情報まで読み込んで回答を生成します。その結果、実態と異なる像が語られます。

たとえば、こんなズレが起こります。

  • 残業はむしろ少ないのに、古い口コミを根拠にAIが「残業が多い会社」と答えてしまう
  • 「挑戦したい人」を求めているのに、AIからは「安定・堅実な社風」と紹介され、欲しい人材に響かない

情報が不足していると、AIは古い情報や業界の一般論から推測し、誤った回答を生成しやすくなります。採用担当者が面接で挽回する以前に、そもそも土俵に上がれていない。これが構造的な課題です。

採用ファネルのどこにAIが入り込むのか

対策の優先順位を決めるため、求職者の検討段階(ファネル)でAIの関与を整理します。

認知:「どんな会社がある?」
新しい企業を知る入口。一般的な情報が返されやすく、ここは優先度を低く見て構いません。

比較・検討:「自分に合う会社は?」
競合と比べ、候補を絞り込む段階。「おすすめの企業を教えて」という文脈で自社が候補リストに残るかが勝負どころです。

意思決定:「この会社で本当にいいか?」
内定先の評判や競合との違いをAIに相談し、最終判断する段階。ここでAIに「入社の後押し」をさせられるかが、内定承諾率を直接左右します。

優先すべきは「比較・検討」と「意思決定」。
認知より「選ばれる瞬間」に資源を集中させる、という判断軸です。

採用のAI対策(LLMO)を回す5ステップ

AI対策は、一度やって終わりではなく、PDCA(計画・実行・評価・改善を繰り返すサイクル)として回す施策です。
手順は次の5つです。

①質問の入口を設計する
求職者がどんな質問をしたとき自社が候補に挙がりたいかを先に決めます。
例:「広島 マーケティング 未経験 成長環境」。

②現状を可視化する
実際にChatGPTやGeminiへそのプロンプトを投げ、自社が推奨されているか、
誤情報やネガティブ情報が出ていないか、AIが何を情報源にしているかを確認します。

③原因を分析する
推奨されない原因と、求職者の意思決定を左右する重要な判断要因を洗い出します。

④打ち手を実行する
AIが学習しやすい形で、自社が選ばれる根拠情報を配置していきます(詳細は後述、「AIに選ばれる情報の『置き方』」参照)。

⑤効果を検証する
指名検索数を最終目標(KGI)、比較・検討/意思決定プロンプトでの
自社推奨率を指標(KPI)として、改善を続けます。

どんな質問を想定するか:プロンプト設計の具体例

第2ステップで「何を確認するか」を外すと、対策全体がぶれます。
想定すべきプロンプトは大きく2層です。

比較・検討向け(候補に入るため)
「職種 × 属性(新卒/中途) × 条件(30代・未経験・フルリモート等)」を掛け合わせます。
例:「広島でWebマーケを未経験から学べる会社のおすすめは?」

意思決定 向け(最後の後押しのため)
「関心軸(成長・裁量など) × 自社名/競合名 × 属性」を掛け合わせます。
例:「A社とB社、若手が裁量を持てるのはどっち?」「A社に悪い評判はある?」

自社が答えられても、競合と並べられた瞬間に負ける。この比較プロンプトまで想定するのが、実務の分かれ目です。

AIに選ばれる情報の「置き方」

ここが最重要です。抽象的なアピールは、AIに学習されません。

「風通しが良い」「アットホーム」といった曖昧な表現を、AIは引用できません。必要なのは、検証可能な定量的事実(AIが根拠として引用しやすい情報)です。残業時間や有給消化率、離職率といった「数値で語れる実態」や、えるぼし認定・健康経営優良法人などの「第三者による認定」があれば、それらこそAIが根拠として拾いやすい情報になります。

そのうえで、AIが学習しやすい3つの場所に情報を配置します。
オウンドメディア(採用サイト):
FAQと募集要項を充実させる。AIが読み取りにくい画像やPDFではなく、必ずテキストデータで記載する。
採用ブログ(noteなど):
社員のリアルな入社理由や想いを発信し、良質な学習データにする。
第三者メディア:
口コミサイトの評価獲得やタイアップ記事を通じて、客観的な裏付けを得る。

公式サイトに数値を一行加えるだけで、AIの答えが変わる。地味ですが、ここに最大のレバレッジがあります。

まとめ:採用も「体温を感じる情報設計」の時代へ

これからの採用は、AIにどう紹介されるかで応募と承諾の入口が決まります。だからこそ、AI対策。
自社の事実を正しく、魅力的にAIへ届ける設計が欠かせません。

ただし、数値を並べるだけでは人の心は動きません。離職率や残業時間という「事実」に、社員の想いや会社の価値観という「体温」を重ねてこそ、AIの先にいる求職者に自社の魅力が伝わります。私たちニューズコムが大切にしてきた”体温を感じるマーケティング”——人間の手間と想いを丁寧に積み重ねる情報づくり——は、採用の領域でこそ力を発揮すると考えています。

「自社がAIにどう語られているか、見たことがない」
「採用サイトはあるが、AIに伝わる形になっているか不安」
そう感じられたら、まずは現状を一緒に確認するところから始めませんか。ニューズコムは、企画から実行、効果検証までを伴走するチームとして、貴社の採用とブランディングを支援します。「少し話を聞いてみたい」段階でのご相談も歓迎です。どうぞお気軽にお問い合わせください。


出典・参考データ
本文中の数値(AIで「知らなかった企業」を提案された94.6%、AIの情報をきっかけに辞退を経験した87.4%など)は、株式会社LANYが公表した求職者のAI利用に関する調査データを参考にしています。