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【2026年10月義務化】そのカスハラ対応、会社も、現場の人も守れていますか?
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法の施行により、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止措置が企業に義務付けられます。
出典:厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」
「うちは大丈夫」——そう思っていませんか。企業へのハラスメント相談のうち、カスハラは約27.9%を占め、近年増加傾向にあります。対策実施企業は6割強にとどまり、従業員99人以下の企業では42.5%が未実施というのが現状です。
規模が小さい企業ほど対策が後回しになりがちですが、それは裏を返せば、一人の従業員にかかる負担が大きいということでもあります。
よくある光景 —「対応して」の一言で、すべてが個人に委ねられる
理不尽な要求や心無い言葉を受け、担当者はその場を何とか収めます。事後、上長に報告すると、まず返ってくるのは「なぜそういう対応をしたのか」という問いただし。経緯資料や顛末書の作成も、対応した本人に委ねられる——。
対応したのも、報告したのも、資料を作るのも、すべて同じ一人。そして最後にその是非を問われるのも、また同じ一人です。
実際、ある教育現場では、教師が保護者からの過度な要求に一人で対応し続けたケースが報告されています。専門家の分析では、教師個人の判断は適切だったものの、組織としての対応基準が明確でなく、一人で抱え込ませてしまった点に課題があったと指摘されています。カスハラ対応は個人戦ではなく、組織のチームプレーが必要だという教訓です。
こうした構図は特定の業種に限らず、体制が整っていない職場であればどこでも起こり得ます。
これは、個人の対応力の問題ではありません
改正法で義務付けられる対策には、次のような項目が含まれています。
- 管理監督者への取次ぎ、一人で対応させないフロー整備
- 相談体制の整備(担当者の教育を含む)
- 迅速かつ適切な事後対応(事実確認、被害者への配慮、再発防止策)
本来、カスハラ対応は「現場の一人が抱え込むもの」ではなく、「会社として仕組みで受け止めるもの」であるべきです。一人で対応し、一人で報告し、一人でその是非を問われる——この状態は、法律が求める姿とは真逆です。
「詰める」は対策にならない
対応の結果だけを見て担当者を厳しく問い詰めることは、指導のように見えて実際には逆効果です。次に同じ事案が起きたとき、報告そのものを躊躇させてしまいます。改正法でも「カスハラ被害によるマイナス評価をしない旨の周知」が義務項目に含まれています。
状況の確認やアドバイス、資料作成の指示は、管理する側からすると「サポートしているつもり」であることが多いはずです。しかし対応直後で疲労が残っているタイミングでは、同じ行動が「追加の負荷」として積み重なることもあります。良かれと思って行っていることが、相手にとって本当に負担軽減になっているか、都度確認してみる価値があります。
中小企業がまず取り組むべき3つのこと
① 「一人で対応させない」を明文化する
事案が起きたときは必ず上長へ即時共有し、可能な限り複数人で対応するというルールを明文化します。
② 事後対応の役割を分担する
対応した本人がすべての書類作成を担うのではなく、まとめ作業を上長・総務が引き取るなど、負担を分散させます。
③ 振り返りは「詰める場」ではなく「支える場」にする
目的は「誰が悪かったか」を決めることではなく、「次はどう仕組みで守るか」を考えることです。
従業員を守れる会社は、選ばれる会社になる
カスハラ対策は、法律で義務付けられたからやる、という受け身の話ではありません。「この会社は、何かあったときにちゃんと守ってくれる」という信頼は、従業員の定着だけでなく、これから入社する人材が会社を選ぶ理由にもなります。
施行まで、残り約2ヶ月。就業規則の見直し、相談窓口の整備、社内研修——できることから、少しずつ着手していくことが求められています。
「うちの体制、大丈夫だろうか」「何から手をつければいいかわからない」——そんな段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。就業規則や相談窓口の整備はもちろん、弁護士や社会保険労務士など外部専門家を招いた社内研修・セミナーの企画運営も承っています。従業員が安心して働ける仕組みづくりを、一緒に考えていきましょう。